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要 旨:終身雇用制度は日本式経営の特徴の一つとして、会社に対する会社員の忠誠を期待し、会社そのものを一つの大きな「家」として捉える思想を反映するものであった。また、この雇用制度は第二次世界大戦後における日本経済の急速な発展の一つの大きな要因であった。 しかし、1990年代以降、日本の経済環境は世界経済のグローバル化とサービス業などの発展により大きく変化した。さらに、少子高齢化などの社会問題も出現し、雇用形態にも変化が見られた。すなわち、多業種に非正規雇用形態が拡大していったのである。正式社員に代わって非正規雇用者を採用することで、企業の労働力コストを抑え、また、企業は柔軟な人員調整も可能になった。しかし、その一方で、労働者の側から見ると、労働条件の悪化に繋がり、そのため、本論文で考察するように様々な社会問題が生じたのである。 そこで、本論文では大戦後から今日に至るまでの日本の雇用制度の発展形態を分析して、日本における労働力市場の多様化について考察したい。そして、その多様化の原因と諸問題を検討してゆくことにする。 |