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要旨
昔から、中日両国民は狐に対して特別な感覚や信仰を持っている。それで、いろいろな伝説や逸話が伝承されてきた。また、狐も文学作品の主要な構成要素になった。人間、鬼、神様のいずれとも違って、特殊な存在だと思われ、文化的意味が深く託されている。 中国の清代の有名な小説家である蒲松齢が書いた『聊斎誌異』には「狐」に関する物語がいっぱいある。人物イメージの描写が極めて生き生きしており、物語の筋が奇抜で込み入っている。言葉使いもが洗練されていて、芸術的な価値が高い。それに対して、日本では、9世紀の『日本霊異記』には狐に関する説話も載っているが、『聊斎誌異』と深い関係がある『夜窗鬼談』の中にも巧みな構想をなしている狐の物語がたくさん入っている。 本稿の序論は狐文化の定義を説明する。この論文の研究背景を総括し、中日狐文化の研究目的を指摘する。 第一部分は、中日狐文化の歴史を簡単に紹介する。両国の狐文化の起源や発展の過程など、まとめて述べられる。 第二部分は『聊斎誌異』と『夜窓鬼談』を中心に分析を進めたいと思う。内容は三部分に分けられる。まず、この二冊を選択する理由を言う。その後、二冊に出てきた狐のイメージの分類について、詳しく紹介する。最後は狐のイメージの異同点を整理し、その生じた原因を求める。日本文化は中国から伝わったものをまねするものが多いが、狐に関する観念や態度はどうであろうか、そして、民俗性はどう違うのか、この部分で検討してみる。 結論では、この論文の内容を総括し、不足点なども指摘する。狐文化の始祖は中国であるが、日本文化は外来文化を吸収すると同時に、本国の特色は失わないと説明する。
キーワード:中日狐文化;起源や発展;『聊斎誌異』;『夜窓鬼談』;狐のイメージ;異同点
目次 要旨 中文摘要 1.序論1 2.狐文化の歴史2 2.1中国狐文化の起源と変遷 2.2日本狐文化の起源と変遷 3. 『聊斎誌異』と『夜窓鬼談』における狐のイメージ3 3.1なぜこの二冊を選ぶか 3.2狐のイメージの分類 3.2.1 『聊斎誌異』における狐のイメージ 3.2.2 『夜窓鬼談』における狐のイメージ 3.3 狐のイメージの比較と分析 3.3.1 共通点 3.3.2 相違点 3.3.3 異同を生じた原因 4.結論 5 参考文献 7 謝辞 |