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要旨:日本の著名な作家井上靖氏は中国西域題材小説『敦煌』を1959年1月から5月にかけて雑誌『群像』に連載し、次の年に『敦煌』により毎日芸術大賞を受賞した。この小説においては作者の中国西域文化に対する憧れの感情を表し、また、井上氏の独特の文学革新精神も表出している。井上氏は小説『敦煌』を創作した時に、中国の西部の国境地域まだ対外開放を行っていないので、実地考察に行くことはできなかった。しかし、彼は依然現実主義に基づいて、中国の文献資料による芸術の発想を行っていた。長期の探索と革新を通じて、史実と想像を組み合わせた綺麗な歴史絵巻が描かれている。 本論文は三つの部分に分かれている。第一部分は序言で、主に『敦煌』の創作背景を中心に日本の著名な作家である井上靖氏の創作生涯を紹介することにする。第二部分はすなわち本論部分で、『敦煌』における主人公「趙行徳」の自己追求を研究し、さらに主人公の自己追求を3つの時期に見分けて検討している。それぞれは前期の追求即ち功名への追求、中期の追求即ち西夏文明への追求、終極の追求即ち仏経文明の追求。課題の本論部分は主人公である趙行徳の前期の追求を始め、西夏文明の追求へ移行して、終極の目的はすなわち仏経文明に対する追求を最も詳しく分析したいと思う。それによって主人公の自己追求過程に昇華することを表す。第三部分は結論で、『敦煌』においての主人公「趙行徳」の自己追求を総合し、主人公「趙行徳」という人物像が『敦煌』という小説及び井上靖の歴史題材の小説にどのような創作意義があるかということについて分析したいと思う。
キーワード:趙行徳 功名 西夏文字 仏経文明 追求
目次 要旨 中文摘要 はじめに 1 1. 前期の功名への追求 2 1.1 進士の試験 2 1.2 科挙の失敗 3 2. 中期の西夏文明への追求 3 2.1 西夏の女との出会い3 2.2 朱王礼からの支持4 2.3 西夏文字の学習5 3.終極の仏経文明への追求 5 3.1 王女の魂への済度5 3.2 興慶での訳者探し6 3.3 仏経保護の願い7 3.4 仏経の隠し 7 おわりに 8 参考文献 10 謝辞 11 |