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要旨: 授受表現は日本語における独特な表現形式であり、重要な文法現象である。「授」は「授与する、与える」ことを指し、「受」は「受け入れる、もらう」ということである。中国語の中で、他者に何かをあげたり、あるいは他者から何かをもらったりする時、常に「給」という動詞を使うことになる。中国語と比べてみると、日本語の授受表現のほうが複雑であり、「あげる」「くれる」「もらう」など三種類の授受動詞を持っている。授受表現を身につけることは、日本語学習における難しい一環だと言われる。日本人の日常会話において、授受表現が常用表現の一種であり、また重要な役割を果たしている。 中国と日本はよく一衣帯水の隣国と言われる。異なった発展歴史や社会生活を経験した中国人と日本人は異なる思考様式を持っている。また、思考様式は言語表現に大きな影響を与えてきた。言語は単純な文字だけではなく、深い文化的な意味も含んでいる。つまり、言語と文化は互いに依存している。したがって、外国語を勉強する場合、その背景となるその国の歴史、文化も重視すべきである。異文化コミュニケーションの中で誤解を避けるために、異文化を理解することは重要なのである。 本稿は言語と文化との関係という視点に立ち、中日における授受表現を対象に、対照研究を行おうとする。授受表現を考察することによって、中国文化と日本文化の差異を取りまとめることが目的である。日本語の授受表現には日本人の独特な思考様式が含まれている。すなわち内外意識、恩恵意識、上下意識である。それに対して、中国語の授受表現にはそれほど豊かな意味を持っていないということがわかった。日本語の運用力を高めるには、これらの文化差異を知っておくことが重要なのである。本稿は日本語学習者にとって、参考する価値があると望んでいる。
キーワード:授受表現 文化差異 内外意識 恩恵意識 上下意識
目次 要旨 中文摘要 はじめに-1 1.日本語の授受表現-1 1.1 授受表現の定義-1 1.2事物の授受を表す「あげる」「くれる」「もらう」-2 1.3敬意の授受を表す「さしあげる」「くださる」「いただく」-3 1.4行為の授受を表す「てあげる」「てくれる」「てもらう」-4 2.中国語の授受表現-4 2.1中国語の授受表現の構文-4 2.2中国語の授受表現の特徴-6 3.授受動詞から見る中日の文化差異-7 3.1内外意識における差異-7 3.2恩恵意識における差異-8 3.3上下意識における差異-9 4.異文化コミュニケーションへの参考-9 4.1言語表現と異文化コミュニケーション-9 4.2授受表現の異文化コミニュケーションへの影響-10 終わりに-10 参考文献-12 謝辞-13 |