要旨:夏目漱石は日本近代の文壇で代表的な反自然主義の小説家として世界的な文豪だと評価されている。現在、漱石は百年逝去しながらも、その作品が依然として読者の中で超人気である。それで、本論文は漱石の代表的な小説『こころ』を研究対象にしたい。　

『こころ』は、作者の後期の心理的な代表作である。これは、大正三年（1914年）『行人』に続く『朝日新聞』に連載された長編小説で、夏目漱石が胃潰瘍の病状が悪化したあと創作したのである。この小説は、「先生」は友達のｋと共に大家のお嬢さんを愛したが、ｋに先んじてプランを立ててお嬢さんを手に入れてｋを自殺させてしまった。自分の願いがかなったが、良心と道義の呵責に耐えられなくて、先生も自殺するとのことである。小説は男女間の愛情と友情及びエゴイズムと道義との衝突を述べるとともに重要な人生課題を提供したのである。そして、『こころ』は時代性があって、社会転換期における人間の心理描写に巧みで、かなり含みのある作品である。

本論文は、『こころ』の中に展開された近代人の精神的世界を発掘し、人間のエゴイズム、明治時代における知識人の孤独、彷徨いと苦悶などを分析して、漱石は『こころ』における則天去私の真意を探ろうと思う。

キーワード：『こころ』；知識人；明治時代；精神的世界；則天去私

目次

要旨

中文摘要

序論-4

第一章 明治時代における知識人-3

1.1明治知識人の生き方-3

1.2明治知識人と「明治精神」-4

第二章 漱石が知識人の心を探る原因-5

2.1作者の孤独な経歴-5

2.2人生後期の思想的変化-6

第三章 「先生」の精神的世界-7

3.1「先生」の内心の苦悶と孤独感-7

3.2「先生」の自殺と明治的精神-8

3.3「先生」の倫理観-9

第四章　kの精神的世界-10

4.1　実情判明してからの平静な態度-10

4.2　 kの自殺と遺書-11

4.3　宗教的な知識人-12

第五章　夏目漱石の精神的世界-13

5.1　漱石の理想的な知識人-13

5.2　則天去私-14

結論-15

参考文献-16