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要旨:井上靖(1907-1991)は日本現代文学界において高い地位を有している小説家、詩人、評論家である。井上靖に創作された中国歴史小説『敦煌』は1958年雑誌『群像』に発表され、そして翌年「毎日芸術賞」を受賞し、日本では「敦煌ブーム」を起こした。最初の『天平の甍』、『蒼狼』以来、井上は小説的な虚構を通して歴史の史実の隙間を埋めるという性格に置いているが、中国題材の歴史小説の中で、第三作『敦煌』ではその性格は最大限に発揮される。本論は『敦煌』という中国西域を背景している小説についての分析を通し、改めて作品に描写された繁栄と衰退が同時に存在する中国像を解明してみる。 本論は四つの部分からなる。第一部分は序言で、文章の研究目的、構想と研究方法を説明し、そして日本と中国の『敦煌』についての先行研究を総括する。第二部分は三つの内容からなる。第一章節は作家と作品の紹介を通じ、井上靖の中国題材の歴史小説における中国像及び特徴を分析する。第二章節は文章の人物像を分析する。第三部分は異国の立場から繁栄の文明国について詳細な解読と分析を行う。第四部分は作品に仄めかされる衰退に向く中国像の成因を明確にする。 井上靖の『敦煌』の中国像を研究すると、私たちはもっと井上靖の歴史小説における中国像の価値と意義及び中国文化に対する認識が解読できる。今後は更に両国の文化交流に有利だと思う。 キーワード:敦煌 両面性 繁栄 衰退
中文摘要:井上靖(1907-1991)是日本现代文学界享誉盛名的小说家、诗人与评论家。由其创作的中国西域历史题材小说《敦煌》于1959年首次登载于杂志《群像》中,并于次年荣获“每日艺术奖”,同时在日本掀起了一股“敦煌热”。继最初的 作品《天平之甍》、《苍狼》之后,井上靖将用小说的想象填补史实的这一手法,在其第三部中国历史题材作品《敦煌》中得以最大限度地发挥出来。本论文通过分析以中国西域为背景的小说,从文本学角度分析作品中所描述的繁荣与衰退同时存在的具有双面性的中国形象。 论文分为四个部分。第一部分是先行研究、论文的研究目的、构想的说明。同时,对中日两国至今为止所做的研究进行总结。第二部分分为三个章节:第一章是对作家和作品的介绍,第二章是对文中主要人物形象进行分析,第三章分析井上靖中国历史题材作品中所蕴含的中国形象以及特征。第三部分是从异国角度对繁荣的东方文明大国形象进行详细的解读与成因分析。第四部分析作品中所影射出的中国正在走向衰弱的成因。 深刻认识井上靖《敦煌》中的中国形象对于我们更好地解读作者塑造中国形象的目的与意图,剖析其价值与意义具有很大的作用,也有利于中日两国之间的文化交流。 关键词:敦煌 两面性 繁荣 衰退
目次 要旨 中文摘要 はじめに-1 1.『敦煌』についての先行研究-1 1.1問題提出-2 1.2本稿の構想と方法-2 2.『敦煌』における中国像について-3 2.1作家について-3 2.2『敦煌』の登場人物-4 2.2.1趙行徳の書生像-4 2.2.2朱王礼の士官像-6 2.2.3尉遅光の商人像-7 2.3作品における中国像の特徴-8 2.3.1『天平の甍』における中国像-8 3.繁栄の文明国としての成因-9 3.1井上靖の歴史小説観-9 3.2井上靖の中国観-10 3.3中国文化への敬意-10 4.衰退中の中国像の成因-11 4.1日本社会の影響-11 4.2個人の家庭背景-11 4.3作者の戦争経験-12 おわりに-14 参考文献-15 謝 辞-16 |