要旨: 日本の独特な文化背景において、素敵な「ゆるキャラ」が数多く創り出され、地域の文化振興に大きな役割を果たしていると同時に、地域の経済力をも向上させている。近年、中国でも「ゆるキャラ」が続々と登場してきているが、社会に公開されたあと、その大部分は直ちに人々に忘れられ、またはそれほど望ましい役割を果たしていないとしばしば指摘される。上記のような背景において、本稿は日中の「ゆるキャラ」が地域活性化における働きを調査し、主に人気ランキング上位の「くまモン」の経験から示唆を得ることによって、中国の地域の「ゆるキャラ」をいかに地域活性化に有効に活用できるかについて検討した。

地域文化ブランドは地域活性化の重要なツールであり、日本の「ゆるキャラ」文化は文化ブランドとして成熟した発展を遂げており、「ゆるキャラ」は地域文化発展の一つの印であることが言えよう。一方、中国では「ゆるキャラ」の具体的な応用に対する議論がまだ十分ではない。また、日本の「ゆるキャラ」の活用経験からどのように我が国の地域に援用できるかについてもまだ検討する余地がある。本稿は日本の「ゆるキャラ」に関する資料の収集、分析及びまとめを通して、その

「ゆるキャラ」を活用した地域活性化の経験を出発点として研究を展開していった。次に、中国の

「ゆるキャラ」の現状に関する資料を集め、金華市の「ゆるキャラ」（「金金」と「華華」）を対象にアンケート調査を通じてその活用を分析した。具体的に 1）イメージデザイン 2）ネーミング 3）宣伝方法という 3 つの角度から市民の「ゆるキャラ」に対する捉え方と意見を集め、地域の文化マークとして、まだ不十分なところを整理した。最後に、本稿は日本の経験と結びつけながらこれから中国の地域ないし全国の「ゆるキャラ」をいかによりよく地域活性化を促進し、地域文化の特色を発信できるように改善していけばいいかについて考察した。本稿の分析から、「ゆるキャラ」を使って、有効に地域を活性化させるためには以下の 3 つのことが重要であることが分かった。1）地域の雰囲気に合った優れたデザインと特色のある名前を考える；（2）市民の意見や好みを十分考慮し、

「ゆるキャラ」と人々との関係性を深めることによってその影響力を高める；（3）経済発展に従って長期的なマーケティング計画を事前に入念に立てる。

キーワード：ゆるキャラ; 地域活性化; くまモン; 文化ブランド; 経済発展

目次

要旨

中文摘要

1.はじめに-1

1.1研究背景-1

1.2研究意義-1

1.3先行研究-1

2.日中の「ゆるキャラ」の現状-3

2.1日本における「ゆるキャラ」の現状-3

2.2中国における「ゆるキャラ」の現状-4

3.日本における「ゆるキャラ」の成功例「くまモン」-6

3.1「くまモン」の活動について-6

3.2「くまモン」に対する評価-6

3.2.1イメージデザインに関する評価-6

3.2.2著作権の自由授権について-6

4.金華の「ゆるキャラ」についての調査-8

4.1アンケート調査の結果-8

4.2活用が不足する原因-11

5.日本のゆるキャラから中国の「ゆるキャラ」活用への啓示-12

5.1イメージのデザインについて-12

5.2ネーミングについて-12

5.3宣伝方法について-12

おわりに-14