要旨

『潮騒』という小説は三島のその他の暴力美学の溢れる作品と違って、この小説の風格が積極的だ。『潮騒』が描いたのは若く純朴な恋人同士の漁夫と海女の間のラブストーリーである。小説の中の人を強く引き付ける田園景色と島の美しい風光は一種の「生き生きしい」「活力」と「健康」の美を体現した。

本論文は小説における男女の主人公のラブストーリー、歌島人の性格の特徴及び歌島の自然風景に含まれる深い意味などの面から、小説が読者に伝えようとする「美」の解釈を分析したいと思われる。そして、三島の個人体験に対する理解及び『潮騒』への解読を通じて、読者に作者が矛盾の世界で積極的に美を求める楽観的な態度を感じさせる。具体的に言えば、本論文は作品の中の自然風景、人文雰囲気などから着手し、小説の中で特定の意味を持つ歌島、海、歌島人などの元素を分析すると同時に、作者の小さい頃からの経験或いは当時受けた外部の影響に基づき、作者が小説に託した楽天な情感をより一層解読しようとする。このように、『潮騒』における自然風景、人文などから反映した美意識が三島由紀夫本人の体験と直接で密接な関係があることが明らかになった。

キーワード：潮騒；美意識；個人体験

目次

要旨

中文摘要

1.はじめに1

 2.自然的な美意識.2

2.1　歌島の環境について

2.2　海の美しさ

　　 2.2.1 海の説明

  2.2.2 海と作者の関係

2.3  自然環境の色彩

  2.3.1 白黒色彩の説明

  2.3.2 白黒究極の美の原因

 3.生命と力量の美しさ5

　 3.1 『潮騒』の中で人物の特徴

3.2　人物の特徴と作者の関係

 4．ギリシャ文芸の美しさ.6

　 4.1 『潮騒』と『ダフニスとクロエ』の連絡

4.2  ギリシャ文化の啓蒙や影響

5.終わりに7

参考文献8

謝辞9