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要旨
松本清張は昭和時代の文学界を代表する人物で、日本の有名な社会派推理小説家である。社会派推理小説の特徴は、推理の方法によって犯罪の社会根源を探り、社会矛盾や悪習を暴露し、人間の矛盾や苦悩を描き出す点にある。 又、松本清張は社会派推理小説の創始者であり、その諸作品はいずれも秀逸であるが、ほとんど社会問題を反映している。松本清張の推理小説から分析できる社会問題を更に説得力あらしめるために、まずは社会派推理小説の誕生、発展、代表作家、代表作品を些か紹介する。 四十歳以前の松本清張は随分貧困であるが、第二次世界大戦が彼の転換点となった。四十歳以後、彼は当時の日本で最も有名な作家になった。松本清張の経歴も社会問題を反映しているため、本論において彼の一生を略述する。 第四章は昭和時代における社会背景概略である。この部分は非常に重要である。第四章の社会問題は、第五章における五点の小説で具体的に分析する。これは偶然ではなく、松本清張の推理小説は確かに現実生活に胚胎しているからである。 昭和時代の日本において、一番顕著な問題は戦争である。松本清張の「零の焦点」、「球形の荒野」、「点と線」は戦争とそれによる惨禍や矛盾を非難するストーリーで、本論はこの三作について詳述する。更に、「霧の旗」は法律問題を扱い、「けものみち」は女性の社会的低地位と世人の拝金主義を扱う作品である。この二作も実際的な社会問題を反映している小説である。 この五点の小説はそれぞれの社会問題を扱っており、正に代表作と思う。本論は第五章においてこの五作を紹介する。まずはストーリーの内容をまとめ、テーマとなっている社会問題を指摘する。 文学は現実生活の産物で、特にこのような社会派推理小説は当時の日本社会を研究する上で、格好の材料である。本論文の最終目的は社会派推理文学を通して昭和時代の社会問題を研究し、昭和時代の日本を了解することにある。それゆえ、本論文は昭和時代の社会問題を分析するものである。 キーワード:社会問題;昭和時代;社会派推理小説;松本清
目次 要旨 中文摘要 1.序論1 2.社会派推理小説1 2.1誕生と発展 2.2代表作家と代表作品 3.松本清張の紹介2 3.1 40歳以前の人生 3.2 40歳以後の人生 3.3代表的作品及び後進作家への影響 4.昭和時代における社会背景概略6 5.松本清張の作品における社会問題の具体例7 5.1「零の焦点」から見る社会問題――戦争中の忌まわしい記憶 5.2「球形の荒野」から見る社会問題――戦後日本政府における内部問題 5.3「点と線」から見る社会問題――戦後経済回復期における汚職問題 5.4「霧の旗」から見る社会問題――法律上における不公平 5.5「けものみち」から見る社会問題――女性の低地位と拝金主義の横行 6.社会派推理小説の将来展望13 7.結論13 参考文献.15 謝 辞 |