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要旨:日中同形語に関する研究は中国でも日本でも第二言語習得の領域における重要な課題である。本論文では、日中同形語の定義と形成を紹介し、同形語による誤用の研究データの引用から、中国語話者の日本語学習者の同形語を産出した過程に、「母語の干渉」が発生することを論じる。そして、日中同形語に関する最新研究を紹介し、中国語話者の同形語認知過程に「母語の干渉」が如何に影響を与えているかを明らかにする。最後に、日中同形語の学習過程において母語からの「負の転移」を弱めるための学習方法を提案してみる。 キーワード: 日中同形語 第二言語習得 母語の干渉 日本語教育
本論文は、中国語話者の同形語認知過程に「母語の干渉」が如何に影響を与えているかを明らかにするということを目的とした。第二節では、様々な同形語による誤読と誤用を分析し、アウトプットした同形語の誤りから学習者が母語である中国語からの影響を受けていると想定した。さらに、第三節で小森(2010)の実験を通じ、同形語の認知処理過程に母語となる中国語の影響が確実に存在していることが分かった。その最新研究は中国語話者が持つ日本語の知識が不足していることを、同形語認知処理過程において母語からの負の転移の発生原因と指摘した。学習者に備わった日本語の知識、特に同形語の表面的語義、内面的語義、意味的連想、文法的機能、語彙群と連語、及び使用制限についての知識は、誤用を克服するということの鍵となる。
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