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要旨:近代にキリスト教を布教するための手段として、ヨーロッパの商人やキリスト教[ 当時、ヨーロッパ以外で宣教に極めて活躍したのは正統とされてきたカトリックであった。]の宣教師たちによって持ち込まれた当時の先進的な科学技術や思想などは東アジアの近代化に影響を与えた。しかし、今日の東アジアでは、キリスト教の受容状況は国により大きく異なる。特に、最も早く積極的な態度で欧米の先進的な科学技術や思想などを学び、国を近代化し発達させた日本では、キリスト教徒の数が驚くほど少ない。日本は自国の状況に応じて他国・他民族の文化や生活を取捨選択し、長所を学ぶことが得意とされているが、キリスト教とこれに伴って伝来した先進的な科学技術や思想などの受容状況はこの典型ではないか。日本におけるキリスト教の受容状況と外来文化に対する態度を検証し、中国にとっての示唆を得た。 キーワード:キリスト教 西洋文明受容 近代化
本稿では、日本を具体例としてキリスト教が東アジアに伝来した背景と日本での宣教の過程を考察した上で、今日の日中韓におけるキリスト教の受容状況を比較し、そしてなぜ日本でキリスト教徒の数がこれほど少ないかを検討した。キリスト教自体の性質、すなわち一神教と変容不可能との二点が日本固有の複数の神を認める伝統や思想・宗教重層性と合わないほかに、日本当時の状況やキリスト教布教の方式、幕府の弾圧政策も理由として挙げられると論じた。最後に、キリスト教伝来後の日本の変化、特に多くの学校や病院などの創設や近代ヨーロッパ文化・技術の輸入などについて述べた。また、日本におけるキリスト教と同時に伝来した科学技術に対する日本の受容態度は、中国の西洋文明受容にとって示唆に富んでいると指摘した。
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