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要旨:谷崎潤一郎は日本耽美主義文学を代表する作家のひとりである。彼の一生は明治、大正、昭和という三つの時代にわたって、優れた文学作品を数多くのこされ、日本文学史において重要な地位を占めるだけではなく、世界文学史においても評価は高い。文学の創作において、谷崎潤一郎は自虐的な快感、病的な官能美と永遠の女性美を追求し、独特的な「女性崇拝」という思想が形成されていた。星のように閃いた作品の中で、この思想が最もよく体現された作品は『春琴抄』である。『春琴抄』は谷崎潤一郎の「女性崇拝」思想の里程標とも言えるだろう。 本稿は谷崎潤一郎の代表作『春琴抄』から作家の「女性崇拝」思想を分析してみた。まずは作家の生い立ちから切り込み、「母への憧憬」や「恋と婚姻」などの面から、「女性崇拝」思想の形成原因を分析してみた。そして、『春琴抄』の主な人物と結び付けてその中の「女性崇拝」思想を究明してみた。したがって、谷崎における「女性崇拝」思想の主な特徴は「女性美至上」と「絶対的な官能主義」にあると結論付けた。最後、谷崎潤一郎のほかの作品、『痴人の愛』と『刺青』をとりあげ、その中から以上の結論を支えた論断を見つけ、それによって谷崎潤一郎の「女性崇拝」思想を更に究明してみた。 『春琴抄』から、谷崎潤一郎の「女性崇拝」思想を探究して、「女性美至上」と「絶対的な官能主義」が「女性崇拝」の主な特徴であるという論断を得た。しかも、それが谷崎潤一郎一生の審美基礎として、彼の文学創作の始終を貫いていた。
キーワード:『春琴抄』 女性崇拝 女性美 官能主義
目次 要旨 中文摘要 はじめに1 1. 谷崎潤一郎の「女性崇拝」についての先行研究2 2.「女性崇拝」の形成原因について2 2.1生い立ち 3 2.2「女性崇拝」の原因3 2.2.1母への憧憬3 2.2.2恋と婚姻4 3.『春琴抄』から見る「女性崇拝」5 3.1『春琴抄』のあらすじ5 3.2人物像についての分析5 3.2.1春琴5 3.2.2佐助7 3.3「女性崇拝」の主な特徴 9 3.3.1女性美至上 9 3.3.2絶対的な官能主義 10 4.ほかの代表作における「女性崇拝」10 4.1『痴人の愛』11 4.2『刺青』11 おわりに 13 参考文献 14 謝 辞 15 |