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要旨:本稿は、井上靖の随筆的小説代表作品『わが母の記』をめぐって、作品の特色のある 文体や表現方法について検討し、三部作の順番により、作品ごとに「母」の老耄表現、「私」とまわりの人の言動を分析しながら、作品の中に潜んでいる「老い」と「死」の本質、ま た井上氏の感想や考えをつかみ出してみた。 本稿はまず、井上靖と氏の作品に関して簡単に紹介し、論文の目的や意義について 述べた。それから、『わが母の記』についての代表的な先行研究を整理した。先行研究に は井上の文学モチーフ、作品の詩的基調、作品の中に表した死への目覚め、「私」の立 場から作品を記述した、私小説と違うユニークな表現手法などを指摘されている。 本論は二章に分けた。第一章では、『わが母の記』三部作に使われた文体や表現方 法を具体的に分析し、「随筆とも小説ともつかぬ形」と呼ばれた理由、本作品が私小説と 区別がある原因、また絵画的な手法などを考察した。第二章では、三部作「花の下」「月 の光」「雪の面」に書かれた井上の感想、母の老耄表現、周囲の態度など、作品ごとにそ れぞれの主題を明らかにしてみた。第一作目は死への目覚め、第二作目は親子の愛情、 第三作目は人生原点への回帰がモチーフだと指摘し、老いの表現などを纏め、三つの 作品の相互関連と作品の全体的な意味の検討も試みた。最後に、本稿の考察要点を総 括し、「老い」や「死」の意義を探り出し、自分の感想と考えを述べた。
中文摘要:本文主要围绕井上靖的随笔小说代表作《わが母の記》,以文章内容为基础,对 该作品的独特文体和表现方法进行探讨,按三个短篇的顺序,分别对其中描绘的“母 亲”年老的体现,“我”与周围人的言行态度进行分析,并尝试通过这些分析和探讨, 来找出作品深层要表达的“年老”“死”的本质,以及井上靖自身的感想与观点。 本文首先对井上靖及其作品作简单的介绍,说明了写作目的和本文的意义。其次, 对《わが母の記》的代表性先行研究做归类整理。先行研究中总结出井上文学的主题、 作品所具有的诗的基调、作品中表现出来的对死的思想觉醒、还有从“我”的角度叙 述作品这种表现手法有别于私小说的独特性及优势等几个方面。正文分成两章,第一 章对《わが母の記》三部曲中使用的文体和表达方法做具体的分析,试着说明该作品 文体被称为“形式既非随笔亦非小说”的理由、它与私小说有区别的原因、以及文中 使用的绘画手法等。第二章中分别对《花の下》《月の光》《雪の面》写到的井上靖的 感想、母亲年老的现象、周围的态度进行列举与总结。指出三个短篇的主题分别是对 死亡的思想觉醒、亲子之间的亲情、人生原点的回归,并讨论它们之间的相互联系和 作品的整体意义。本文最后总结了考察要点,概括“年老”“死亡”的意义,并叙述 由此得出的观点和感想。
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