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要旨:日本語学習者にとって、完全に言語の多義性を把握するのはなかなか難しい問題となっている。特に普段の学習の中で、簡単そうなものは学習者に重視されない。実はその中に別の意味がある。例えば:「もの」。漢字で「物」と書く。文字通り、「部品」の意味である。でも、日本語のなかで、「もの」はただの「部品」ではなく、また他の意味と用法がある。「もの」は「具体的な部品」が表せるのが私たちの最初に学んだのである。そして、「もの」は「人」が表せるのを知っている。知り合いの深くにつれて、「もの」は「抽象的なもの」と「抽象的な感情」が表せるのを知っている。特にこの「抽象的な感情」、私たちはしばしば会話の双方が表現しようとするのは一体どんな感情がわかりにくい、これは日本語なりの曖昧と繊細に関わる。 「もの」と似っているのは「こと」である。日本語学習者にとって、この二つは間違いやすい。「こと」は、時間とともに、うまれたり、変化したり、消滅したりする抽象的な、いわば人間とかかわりのある生死や一生の出来事を表し、話し手個人の「事実・事件・経験・習慣・考え・判断」なども表すことがある。これに対して、「もの」は、時間や人間との関わりを超えたところにあり、人間が感覚によってだけ、とらえることのできる客観的存在を表し、ときに普通的一般な「真理・現象・規則・慣習・思想・基準」なども表す。 「もの」の使い分けは日本人が学校で習う文法ではなく、主に外国語として日本語を教える場合に使う日本語の文法形式である。日本語非母語者である日本語学習者にとって難しいと思う。でも、「もの」は日常会話中よくありふれて、大切な言葉である。本稿では「もの」の意味と用法について考察し、その差別を究明することによって、日本語学習者にその使い分けなどの基礎資料を提供するということに意義がある。
キーワード:もの こと 形式名詞 意味 用法
目次 要旨 中文摘要 はじめに1 1.「もの」の意味・用法1 1.1「本性規定」の意味を表す場合1 1.2「説明」の意味を表す場合2 1.3「詠嘆」という意味を表す場合2 1.4「驚き」の意味を表す場合2 1.5「当為」という意味を表す場合2 1.6「事実として成立する事態の叙述」という意味を表す場合3 1.7「強調」という意味を表す場合3 2.「もの」の慣用形3 2.1「~ものではない」の使い方3 2.2「~たものだ」の使い方4 3. 「もの」と「こと」の比較5 3.1「もの」と「こと」の異同点 6 3.1.1「ものか」の意味・用法 6 3.1.2「ことか」の意味・用法6 おわりに6 参考文献8 謝辞9 |