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要旨:授受関係は人間の日常生活から生まれた表現形式である。授受表現の使用頻度は高いため、日本語の中では代表的な文法現象と言われる。しかし、中国語には授受動詞という形式が存在しないから、授受動詞と授受補助動詞の習得は、中国語を母語とする日本語学習者にとって、習得が非常に困難であると言われる。 本論文はまず先行研究における調査対象の問題点に基づき、中上級中国人日本語学習者150名を対象に、「平叙文」「疑問文・命令文」の角度から、既習者が「てもらう」系、「てくれる」系に関する使用実態についてアンケート調査を行う。次に調査結果のデータを考察した後、学習者が二つの系列の授受補助動詞の習得上、平叙文の場面がさらに難しいということが目立つことが分かった。そして、学習者は、疑問文また命令文場面では、授受補助動詞「てもらう」系、「てくれる」系使用の傾向が平叙文より自然であるが、誤用率も高いことが窺える。これらの現象に生じる要因として、母語である中国語の言語習慣の影響を及ぼす可能性があると推測された、また、授受補助動詞の導入順序、恩恵意識の不足も誤用に影響を与える可能性が示された。 本論文は中国語母語話者の視点から、授受関係を表す「てもらう」系と「てくれる」系における習得調査を行い、その結果を踏まえ、授受表現の習得実況またその原因を明らかにすることを目的とする。
キーワード:授受補助動詞 習得実態 中国人日本語学習者 誤用
目次 要旨 中文摘要 はじめに1 1.先行研究1 1.1先行研究1 1.2先行研究の問題点2 2.アンケート調査3 2.1調査対象3 2.2調査方法3 2.3調査結果3 3.調査結果に関する考察4 3.1平叙文場面の使用傾向4 3.2疑問文・命令文場面の使用傾向6 4.考察結果に関する原因分析7 4.1授受補助動詞の提出順序7 4.2母語影響8 4.3恩恵意識8 おわりに9 参考文献10 付録12 謝 辞14 |