要旨:  世界から注目を集めている村上春樹の長編小説『騎士団長暗殺』は 2017 年 2 月に日本で出版され、

出版界から「村上氏は 7 年ぶりの本格的な長編小説」と称されている。村上春樹に関する研究は数多いが、新作についての研究は十分に行われているとは言えない。本稿では『騎士団長殺し』におけるイデアとメタファーを分析し、深く解読してみた。『騎士団長殺し』におけるイデアは一般の用法とは異なり、人間の根源的な無意識に存在するものである。そして、イデアである騎士団長が出現する原因は雨田具彦の戦争という暴力への反抗である。メタファーは村上春樹がよく使う表現技法である。

『騎士団長殺し』にも大量に存在する。本研究はメタファーの本体を分析してみる。さらに、主人公が暴力の二重メタファーを克服することから主旨を明らかにする。暴力を振るのは決して正しい対応策ではなく、心の深いところに潜む暴力性に気付き、消滅させるのは我々にとってのいい解決策であると作者が読者に警告を与えている。

キーワード：村上春樹; イデア; メタファー; 戦争; 暴力

目次

要旨

中文摘要

1.はじめに-1

1.1本論の研究背景-1

1.2本論の研究意義と目的-1

1.3先行研究-2

2.『騎士団長殺し』におけるイデア-4

2.1イデアの概念-4

2.2イデアと騎士団長の関係-4

2.3イデアの形成の原因-5

2.4イデアの形成の原因から見る村上春樹の戦争観-6

3.『騎士団長殺し』におけるメタファー-7

3.1メタファーの概念-7

3.2村上春樹の作品にあるメタファーの役割-7

3.3『騎士団長殺し』に出現するメタファーの本体-7

3.4「二重メタファー」の克服と『騎士団長殺し』の主旨-8

4.おわりに-10

4.1まとめ-10

4.2今後の課題-10

参考文献-11